日本の神社はいくつもの建物によって構成されていますが、そのメインとなるのは本殿と呼ばれるものです。ご神体があるとされる建物であり、ほとんどの神社にもあります。基本的には神霊のための建物なので、人が入ることを想定していません。そして一般人の立ち入りが禁止されている場合もよくあります。そのため有名なところであっても、本殿の姿を見たことがないという場合も珍しくはありません。
建築的な構造としては、とても小さく作られていることが多いです。またあまり装飾を積極的に用いることなく、質素な建物である場合がほとんどです。あくまでも神様のための建物で、人が立ち入らなくても問題はないからです。そして儀式を行う場合でも、限られた人のみに公開されることも多いです。
一般人が参拝する際に訪れるのは、拝殿と呼ばれる建物の方です。建物自体が大きい上に、数多くの装飾も用いられます。そして目立つため、拝殿が神社の顔となる場合が多いです。人がお参りする際には、基本的に中に入っても問題がなく、宮司がやって来て何らかの儀式をすることも珍しくはありません。大勢の人がやって来て儀式をすることも考えられているため、大きく作られていることがほとんどです。大抵の場合は立ち入るだけでなく正座をしたり椅子を置いたりすることができる、床が設けられています。
なぜこのようにふたつに分かれているかというと、神道にとってご神体というものがとても大切な存在だからです。その神社が建てられてから、長い歴史の中で受け継がれてきた存在です。そのご神体には色々な形がありますが、それは公にされるべきものではありません。神職を始めとする、限られた人の目にのみ触れられるべきという考え方があります。さらに人と神様が同じ建物の中にいるという形もおかしいということで、別々に分けられています。したがって一般の人がお参りをしたり儀式に参加したりする場合、神様とは違う建物、違う世界にいる形となります。
お寺の場合は別でこれらふたつが全て、本堂という形でまとめられています。そもそも仏教と神道では宗教としての違いがあり、仏教には神霊を祀る意味がないのでまとめていても問題はないわけです。
また神社によっては、本殿あるいは拝殿がないところもあります。本殿がない場合は、用意する必要がないからです。自然の山や岩などに神様が宿ると考えられているところでは、建物ではなくその自然そのものが信仰の対象となります。