神道における浄化の儀式は複数の種類があり、その中で広く知られているのが禊です。一般的にも謹慎などで禊を済ませるという風な使い方をされますが、神道としては身に付いた罪や穢れを落とすために水浴を行なう行事です。

具体的な流れは非常に細かく、魂を振り起こしたり神話で水にまつわる動きをするなどいくつもの行程があります。子どもが成長して一人前として認められるための儀式という役割を持つ場合もあり、その際は祭りに組み込まれたりもします。男性であれば褌、女性の場合は薄衣をまとって水を浴びたり浸かったりすることが多く、地域によって多種多様です。

また身体の中にある罪や穢れを落とすものとは別に、それらが身に付かないようにする行事もあります。物忌みとも呼ばれる斎戒がそれに当たり、肉食を避けたり他人と火を共有しないなどの内容です。祭りとの結び付きが深い行事で、禊と同じように地域によって異なる場合があります。日頃行なっている何気ない動作を、おごそかに行なうという側面も伴います。

特に神事に携わる人は死者を弔ってはいけなかったり、神道に関係のない音楽や歌を控えるといった厳しいしきたりがあります。その目的には自身に穢れや罪が身に付かないようにするだけでなく、神聖な来訪神に移してしまうのを防ぐといった意味も含まれます。

そして複数ある儀式の中で最も重要とされるのが、祓というものです。禊と斎戒の後に行なわれるのが通常で、しばしば禊も祓の中に含まれることがありますが、禊は特に神事に携わる人の罪や穢れを落とすもの、祓は天つ罪・国つ罪という神道で定められた罪を犯した人に対して行なわれるという厳密な違いがあります。

神様を迎える直前の儀式という立ち位置で、個人だけでなく空間そのものを清浄にするという意味合いを持ちます。神道は世の中の全てのものを清めるという考え方が基本となっているため、それに最も近い形の祓が重要というわけです。よく神社で受けるお祓いという言葉もこの祓から来ています。

儀式としては祝詞を唱えたり価値のあるものを出させることで、罪と穢れを落とすものです。神社によっては効果を高めるために、敷地の中に専用の場所を設置することもあります。

祓の中でも特に6月30日と12月31日に執り行うものを大祓と呼び、大祓詞を唱えることで全ての人の罪と穢れを落とすためのものです。基本は年2回ですが、過去には疫病の流行や災害が発生したタイミングで行なわれた例もあります。