神道は、日本に古来から伝説として伝わってきた八百万の神々への信仰に、仏教や道教、儒教などが影響が加わった民間信仰と儀礼の複合体で、特定の教祖を持たずに動植物やその他の生命の宿らないものでも神聖なものとした精霊信仰的な日本ならではの宗教です。神道は古事記や日本書紀といった古典書物が教典とされており、この中には世界の始まりから神様の出現、日本の成り立ちや皇位の継承まで細かく描かれています。それによると、まず天地の始まりのときに「高天原(たかまがはら)」と呼ばれる天上世界が生まれ、その高天原に次々と神々が出現します。そこに最後に出現したのがイザナギノミコトとイザナミノミコトで、この二柱の神様が結婚して神々によって国づくりを命ぜられることになります。

天の沼矛(あめのぬぼこ)と呼ばれる矛を授けられた二柱の神様が降り立ったのが現在の日本ですが、高天原にある天の浮橋という大きな橋の上に立って下界をみると、まだ日本は地面が形成されておらず泥のような状態であったため、神々から授かった矛をその中に挿し下ろしかき混ぜて引き上げてみると、矛の先から滴り落ちたしずくが島になりました。二柱の神様はその地に降り立ち、天の御柱(あまのみはしら)という柱を立て、これを基にして多くの島々を生み出します。始めに生まれたのが淡路島で、続いて四国・隠岐島・九州・壱岐島・対馬・佐渡島と次々に島が生まれ、最後に本州が生まれます。これらの生まれた合計8つの島々は大八島国(おやしまのくに)と呼ばれ、日本の創世期に当たります。

更に、児島半島と小豆島・周防大島・姫島・五島列島・男女群島の合計14の島々を生み出したイザナギノミコトとイザナミノミコトは、国を育むための神々を生み出す「神産み」の段階へと進めますが、イザナミノミコトが火の神様を生み落そうとしたときにやけどを負ってしまい、それがたたって命を落としてしまいます。悲しみに暮れるイザナギノミコトは黄泉の国に行きイザナミノミコトを連れ帰ろうとしますが、イザナミノミコトは既に悪霊になってしまったためひとりで下界に戻り、身を清めるために左目を洗うと天照大御神(あまてらすおおみかみ)、右目を洗うと月読命(つくよみ)、鼻からは須佐之男命(すさのおのみこと)が誕生し、日本の国の礎が完成しました。このように、日本の国は多くの神々の力によって形成され今日の基礎が打ち立てられたというものが、神道による日本の創世となっています。