神道における仏壇とは神棚?

結論から言えば神道の仏壇にあたるのが、神棚です。それぞれの宗教における自宅に設置する仏具・神具であり、仏教では仏壇の中に信仰の中核を担う仏像や曼荼羅といった本尊を祀っています。一方日本 神道では神棚に神社の本殿をモデルに製造された白木造りの「宮形」を安置して、その中央に神社から授かった「お神札」を祀ります。信仰の対象として祀るのが仏教ではご本尊、神道の場合はお神札という訳です。

神道における仏壇とは神棚?

インドから中国大陸を経て日本へと伝来した仏教とは異なり、神道は日本独自の民俗宗教とされています。古来より日本人は山や火といった自然および土着の、八百万の神々の信仰が主でした。これを自然信仰と呼び、神社が存在しなかった時代では山や木々、岩などを神々の依代として扱い祀っていたと伝えられています。最古の書物の1つ日本書紀によれば、用明天皇が在位していた飛鳥時代には既に存在していた旨の記述があるほどです。神社の社殿に関しては、当時の祭の時に依代に建てた社(やしろ)と呼ばれる仮小屋が原型と言われています。中国の仏教建築を基に、社殿が建設されたという説があります。

一般的な視点では社殿の形を模した宮形のことを神棚と呼びますが、厳密にはお神札を祀る棚のことを指す用語です。中央に配された宮形には一社造りおよび三社・七社、神明造りや箱宮といったようにさまざまな種類が存在しています。ただ通常の家庭に設置する上では、一社もしくは三社造りの宮形を置くのが一般的です。

仏壇との違いは設置場所にも表れており、仏壇は仏間もしくは上座である床の間が多いです。神棚に関しては壁の上の方の、見上げる位置に設置されます。天井から吊るすご家庭や、鴨居を活用して設置するのが一般的です。和室の場合は扉の上の横桟にあたる長押の上、洋室や店舗などの空間では床から180cmほどの高さに置かれます。棚を作るスペースがない場合は、箪笥の上に設置することも可能です。方向については南か東向きが良いとされてきましたが、現代ではお参りしやすい場所であれば良いという風に変化していっている点は仏教とも共通しています。

また仏壇との違いに、信仰対象と故人を祀る場所が分かれている点も挙げられます。仏壇では両方とも同じ場所で祀りますが、日本 神道の場合は神様を祀るのが宮形で故人に関しては祖霊舎です。祖霊舎の中には神道で使う神具の1つ、霊璽(れいじ)が祀られています。故人の霊が宿る神具であり、仏壇におけるお位牌と同じです。祭壇に設置する神具はこの他にも棚の扉の前に飾る神鏡、その左右に置く燭台やさらにその外側に配置する春日灯篭などがあります。