神道宗派の違い

神道は仏教と違い、日本人だけに伝わる宗教です。人だけでなく、山や川、木や石なども神と考えられており、動物も神の一つと考えられていました。そのため仏教では信仰対象が唯一神ですが、八百万の神々と表現されるほど多神教であり、様々なものが神となります。初詣には神社に行くほど、日本人にとって身近な宗教であり、決して特別な教えではありません。意外な習慣に、1月1日の元旦は八百万の神々への遥拝、11月23日の勤労感謝の日は新嘗祭という新穀を祝う日になっています。

仏教の場合は浄土真宗や浄土宗、真言宗や日蓮宗、曹洞宗などに分家され、宗派が分かれていますが、神道においては学派や神社、教派の3つに大きく分類されます。皇室においては宮中祭祀を行うことで有名ですが、皇居内の宮中三殿を中心としている皇室のための神道であり、新嘗祭などが行われています。神社では、氏子や崇敬者によって行われる祭祀儀礼であり、民族では道祖神や山の神などとなります。比較的仏教に近いのが教派であり、教祖などの宗教的体験に基づいています。なお、仏教の中で天理教と呼ばれる宗派がありますが、天理教は神の影響を強くうけており、親神様と呼ばれる天理王命の考えを教祖が説いたことから始まっています。

また仏教やキリスト教、イスラム教などのように教典がなく、神主が祭儀の際に読んでいるのは祝詞と言われ教えではありません。祝詞には人としての教えなどではなく、お参りをする意味など歴史や文化についての説明をしています。

氏神さまにおいても神道に由来しており、その土地の神様という意味になります。本来土地というよりも特定の氏族が仰いだ特定の神様を意味しており、曽我氏は武内宿禰、藤原氏は天児屋根命を祖神としています。どういったものを神としてあがめるかははっきりとしておらず、人間との境界線が明確になっていません。様々なものを神様と考え、ひいては自分の身の回りのことすべてに感謝をし、大切に過ごす、ということを意味します。そのため神道では謙虚さが求められており、特別な日だけ自分の身を考えるのではなく、毎日の生活において身近なものになっています。

仏教との違いは日常生活だけでなく、冠婚葬祭においても現れています。概要は仏教では多くの宗派で輪廻転生があり、生まれ変わりを信じていますが、神式では亡くなった人は氏神となって家を守ってくれるという考えになります。そのため葬儀に関しての案内状も異なっており、それぞれの儀式の名前も違いが生じています。