どうすれば神道へ入信できますか?

神道は、大陸から仏教が伝来するよりも前に日本に存在していた宗教です。弥生時代や古墳時代の日本人は先祖や自然に存在する生物・無生物を神として崇拝しており、神様を祭るための社や神社が建てられていました。他の宗教のように開祖や特定の教えというものは存在せず、生活習慣の一部として宗教的な行為が行われてきたという点で他の多くの宗教とは違う面があります。キリスト教やイスラム教のような教典が特定の教義はありませんが、古くから現代まで伝えられてきた基本的な道徳は存在します。1890年に文部省から教育勅語が発布されましたが、これが事実上の国家神道の教典となっています。

他の宗教から神道に入門する(改宗)場合には、何か特定の儀式を行ったり、特定の教会や組織のメンバーに加わることはありません。むしろ、普段の生活習慣や考え方を身につけて実践するという方法で入信することができるでしょう。生活習慣や考え方を身につけて実践する具体的な方法ですが、自宅に神棚を設けて祀る・先祖を祀る・日本古来の道徳的な価値観を実践する、の3つです。

伝統的な日本家屋には、家の中に神棚が設けられていました。神棚は、現在でも地方で多く見ることができます。これは家の中にある神社で、中央と左右に合計3枚のお札が収められています。中央部分には伊勢神宮のお札を納める方法が一般的で、左右はそれぞれ氏神神社と崇敬神社のお札を納めます。毎月2度にわたり、米・酒・塩・水を供えます。神棚を設置したら、神社と同じ作法(二拝・二拍手・一拝)で毎日拝礼をすることが望ましいとされています。神棚は家の中で最上階の天井近くで、南向きの明るい場所に設置するようにしましょう。トイレと背中合わせになるような所や、人の出入りが多い扉付近は避けるべきです。

先祖は神道の神様のひとつであり、先祖を祀ることは日本に伝統的に伝わる生活習慣のひとつでもあります。仏教では誰かが亡くなると仏壇に位牌を供養しますが、これと同じように霊璽(れいじ)と呼ばれるものに故人の霊をうつしてお祀りします。

神道には特定の教義や戒律は存在しませんが、日本に古くから伝わる道徳的な考え方があります。この基本的な考え方は、日本の国をより良いものにして子孫に引き継ぐ、ことです。これには家庭を築いて子供を育てていくことや、働いて社会を豊かにすることなどが含まれます。道徳的な考え方を明文化したものが教育勅語であり、親孝行をしたり他の人のことを思いやることなどが記されています。